いうまでもなく、ご家族の教育方針にあっているかどうかということです。
例えば、こどもの数や自由に遊ぶ場所が減っている現状の中で、こどもが自分で約束をし自由に遊べる環境を作ってやりたいと思えば、家の近隣の幼稚園を選ぶべきでしょう。また、逆にお稽古事が多く、遊ぶ時間は親がセッテイングしたほうが良いという場合は、自由に行き来のある公立の幼稚園では違った意味での不自由さを感じてしまうかもしれません。

●人のうわさ話に左右されず、自分の目、耳で確かめること
その幼稚園に現在通っていらっしゃる方からのお話では、確かに参考になる部分もありますが、「自分のこどもが通っている」という想いがありますので、大方の場合、良い部分しかお話にならないか、若しくは、入ってみて失敗だったと思われている方は良くない部分しかお話になりません。確かに情報を収集する第1段階は、現在通っていらっしゃる方のお話をお聞きするのが一番早い方法ではありますが、まず何も先入観を持たずに、実際にご両親様の目で確認された方が、広い視野でご見学できるのではないでしょうか。

●ご見学される場合は、日常のこどもたちの様子、先生のかかわりを重点に見学する
まず幼稚園選びの基本的な考え方は、1.でも述べましたようにご両親様の教育方針にあっているかどうかという点です。そのことを考えますと、設定されている説明会や見学会以外に、普段の様子を塀越しにでもご覧になる機会を持って頂きたいと思います。見る観点は、こどもたちが自由に生き生きと動けているか、トラブルがおきたときに自分たちで処理できているか、できないときに先生はどのようにこどもに係わっているか、などという点で、日頃お母様が実際に子育てをされるときの想いと先生の想いが共通しているかどうかを見ましょう。園長先生に具体的にご質問をされても良いと思います。

●「自由保育」と「設定保育」の落とし穴
「自由保育」と聞きますと、いかにも伸び伸びしていて、理想の教育のように聞こえますが、そこに落とし穴があります。全く何の設定もなく自由に過ごして良いと仮定します。入園前に家の中で遊ぶのが好きな子が「自由保育」を掲げる幼稚園に入園したとします。考えてみて下さい。

うまく刺激を受けて外遊びも好きになる確率と、入園後も室内で遊ぶ時間の方が多くなる確率を想像いたしますと、当然後者の方の確率が高くなります。それが逆の場合も成り立ちます。ということは、今現在、寝るとき以外絵本を見ない子が、幼稚園に入ったからといって、自分から本を取りに行きペ−ジをめくる回数がすごく増えるということはあまり期待できません。

今、気が付くと絵本を見て何かしきりにお話をしているという子が入園しますと、ずっと本棚の前にかじりついて、他の遊びが広がっていかないかもしれません。ここに挙げたのは、極端な例ですが、偏り無く育った方が、色々な場面においての経験は豊富になります。「外遊びも大好き」「お部屋遊びも大好き」といえる子であれば、どちらにしても不安なく活発に動くことができます。

実際に「自由保育」の幼稚園に入園されて最初に困るのが、それまでお母様の指示で動いていたような子は、何をどうして良いかわからず(こども同士の係わりにおいてもです)不安でただ、周りの様子を見ているだけということになりかねません。「自由保育」というのは、こども同士の係わりの中で、こども自身が気が付いて成長していける部分と、やはり大人が少し関わりを持つことで広げていける部分があります。

逆に「設定保育」の多い幼稚園を考えてみましょう。いわゆる、お勉強や習い事をさせたり、行事の練習などを徹底的にさせる幼稚園です。確かに、降園後のお稽古事が減り、遊ぶ時間が増えるかもしれません。また、一斉に事を起こさなければならないので協調性は養われるかもしれません。

そして、知識や水泳・ピアノなど、できることが増えるかもしれません。でも、それらはみなこどもの「楽しい」という気持ちに裏打ちされたものでなければならないのに、ガチガチの設定保育の中では、こどもたちの自由な発想は受け入れられませんし、決められたことを進めていかなければならないので、どうしても「ダメ」を言う回数が増えてしまうかもしれません。自主性を伸ばすという意味ではどうでしょうか。

それでも、係わりがうまくいき、それを受けるこども自身も探求心旺盛で、どんなことにでも生き生きと取り組めるような子であれば、幼稚園でのお勉強も習い事も自分に与えられた役目もすべてうまくこなし、なお且つそれがすべて実になるかもしれません。

いずれにせよ、極端な「自由保育」や「設定保育」においては、その子の成長を考えたときに向き不向きがあります。言い換えれば、そのような幼稚園に入った場合、ご家庭の教育方針と照らし合わせて、バランスよく育つために補っていかなくてはならない部分が多少なりとも出てくる可能性があるということです。

基本的には、こどもの教育は家庭がベ−スですが、それプラス幼稚園に入れば園と、学校に入れば学校と協力して育てていくものです。幼稚園だけでは足らない部分は、より深くこどものことを客観的に見て、家庭でフォロ−をしていく努力が不可欠となります。

●2年保育にするのか、3年保育にするのか
よくご相談をお受けするところです。この質問に関しましては、ご家庭の状況、その子の発達の具合によりまして、一概には申し上げられない部分でもあります。

 ぴ−すらんどでお預かりしておりますこどもたちは、普段からお母様とも密に連絡を取らせていただき、その時その時に必要なことをその都度お話しさせていただいており、小さな集団ではありますが、その集団の中での決まりや自分の身の回りのことはできるようにはなっています。

但し、まだまだ、保育者が働きかけないと、毎回のことでもしようとしない子も中にはいます。「お家ではしています。」とお話になるお母様もいらっしゃいますが、こどもの力は、後ろにお母様がいらっしゃっる時のものではなく、自分一人でどこまで状況を把握し、考え、行動を起こせるかという観点で見ていかなくてはなりません。

一人の人間として1歩を踏み出しているこどもたちです。色々なことを自分のこととして(周りの大人からから伝え聞くだけではなくて)、肌で感じ、心で感じ、自分の目で見て、やっと経験として残っていきます。ですから、ぴ−すらんどでは、こども同士のトラブルも危なくない限りは、見守っています。おもちゃをとられる子は、とられないように力一杯頑張らなければならないし、とる子は、とられた子の悲しそうな様子を心で感じていかなければなりません。

その基本は、やはりご両親様とお子様との関係にあります。小さいから、こどもだからと、親が譲るばかりでは、何でもかんでも自分の思い通りで当たり前になってしまいます。悪いことだから、と説明をしようとしても、普段の会話のやりとり(聞いて答える、話して聞くこと)が一方通行(お母様からの一方通行もあればこどもからの一方通行もあります)であれば、せっかくの言葉がただのこわいお説教にしかなりません。

 つまり2年保育か3年保育かという問題に関しましては、まず基本的な生活習慣を自分の意志でしようとしているかどうか、会話のやりとりがだいたい成り立っているかどうかという観点で、。判断していただければよいかと思います。自分の意志で状況を判断し、動こうとしている子は、少々できないことがあってもそれが不安の材料にはなりませんし、会話のやりとりさえうまくできていれば、できないことわからないことは、保育者に伝えられますし、できないことも教えてもらってできるようになっていきます。


最後にお願いしたいことは、お母様が楽だから、お友達が行くからといった理由からではなく、こども自身の成長と家庭の教育方針をよくお考えいただき、100%とまではいかなくとも、できるだけご両親様の納得できる(協力できる)園を選んでいただき、こどももお母様も楽しい幼稚園生活を送っていただきたいと思います。また、ぴ−すらんどでは、幼稚園に関しまして随時ご相談をお受けしています。